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企業書生派遣

起業の郷・企業書生派遣事業

地域の企業において実践的な体験学習を日常的に実施し、固有技術の高い個性的な技術者の育成を図るために企業書生制度を確立し、起業化の機会を学校と企業が支援する風土(企業の郷)を醸成する。

1.事業の必要性

目的・目標

長野高専は、地域の発展に貢献する視点から地域企業と連携した技術者教育を実践している。その一環である夏期休業中の2週間のインターンシップは、企業にも学生にも技術の伝授修得には不十分との意見が多い。そこで本事業では、本科学生が日常的に地域の企業において実践的な体験学習を行い、固有技術の高い個性的な技術者に育つための企業書生制度を確立し、起業化の機会を学校と企業が支援する風土(起業の郷)を醸成することを目指す。

必要性・緊急性

実践的即戦力的技術者養成機関である高専では、学生は5年間の一貫教育を経て就業する事が望まれる。しかし近年は、長野高専でも50%を越える学生が大学編入等の進路を選択する。今後さらに進学者が増加すれば、高専の存続基盤が崩れる恐れもある。この背景は学生・保護者に高学歴志向が未だに存在することと、学生が在学中にものづくりの楽しさ実践技術のすばらしさ等に触れ感受する機会が少ないためと考える。そこで学校環境とは異なる企業現場で、日常的に実践技術に触れ、現職技術者との交流から就業の大切さとものづくりの楽しさを体得し、就業の意欲を培うことが必要である。また、経営者から企業経営のノウハウを学び、自ら起業する精神を植え付け、高専発ベンチャーを産み出し、経済基盤の向上を図る必要がある。

独創性・新規性等

「企業書生」とは、学生が長期休暇および土曜週日放課後の都合よい時間帯に特定企業に出向き(書生し)、設計・製造・開発などの企業現場で体験学習を行う新しい産学連携教育制度である。 本事業は、学生のアイデア等の製品化を助成し、起業化の機会を学校と企業が支援する風土(起業の郷)を醸成し、就業の大切さと起業の夢を与える。 このように、日常的に企業に出かけて実施される産学連携による技術者教育は独創的で未だ見あたらない。

2.事業の取組内容

本事業は、学校にて事前学習を受けた後、日常的に企業に出かけて設計や生産ラインの現場に携わり、経営者と交わり、就業の大切さと起業の夢を体得することである。また企業が有する特殊設備、あるいは特殊技能を活用しながら卒業研究やものづくりを実施する。受入れ企業は、学生のアイデアを製品化や作業現場の改善に生かせるメリットがあり、企業と学生との接点を増やしすことで地域企業が優秀な人材を確保し易い環境作りにも繋がる。20年度は事業を試行し、21年度は本格事業として取り組み、将来は本科学生の実験実習に組み込み、単位化を図る。

3.実施体制等

地域共同テクノセンター

平成12年4月に設置され、 平成19年度は地域企業を対象に80回に及ぶ事業が展開され、その参加者数は2,200名を越す。本事業の主体的役割を果たす。

長野高専技術振興会

平成13年1月に発足し、現在は200余の会員企業が長野高専を支援する。長野地域の45社を超える会員は、企業書生の受け皿としての役割を果たし起業の郷の土壌となる。

(財)長野県テクノ財団善光寺バレー地域センター

長野高専の事業を積極的に支援し、産学連携のコーディネート役を果たしている。 本事業を外部の公的機関として支援する役割を果たす。

  1. インターンシップ交流会の充実:学生・企業人に企業書生制度を説明、浸透を図る。
  2. 夏期休業中に実施する本科学生のインターンシップの延長線上に企業書生制度を設定する。
  3. 企業書生学生の事前教育として、CAD/CAM/3次元造型・組み込み技術講習会等を実施する。

4.事業達成による波及効果等

学校環境とは異なる企業現場で日常的に実践技術に触れ、また現職技術者との交流から就業の大切さ、ものづくりの楽しさ、起業の夢を体得できる本事業の遂行は、高専卒就業者の増加が期待できる。地域企業にとっては、学生のアイデアなどの製品化や作業現場の改善に生かせるメリットがあり、これらのことが企業と学生の接点を増やすことになり、地域企業が優秀な人材を確保しやすい環境作りにもなる。


起業の郷・企業書生派遣事業 (PDF 342KB)